2004年6月6日〜6月12日

三上 武 (後編)

アフリカ帰りの三上っす。

6月はカレンダーを見る度に、休日が無くて寂しくなってしまいますね。
そんな今日この頃皆さま如何お過ごしでしょうか?

結局、週番が連続してしまいますが、ご容赦下さい。

さて、出張で西サハラに行ってきました。こんなとこです。



なんか、いかにも大陸大移動で引き裂かれた感じの切り立った崖に、砂浜がくっついてます。
小船が並んでいますが、これが、タコを獲るボート。全長5メートル程度の小さな船です。
3人位の漁民が乗り込み、タコツボやテンヤ(引っ掛け針)でタコを獲り、毎日夕方5時頃戻ってきます。





このような浜が、4-5つあり、この写真を撮った日は、約700トンのタコが水揚げされました。

そのタコをうちの会社と契約を結んでいる凍結工場の親父と一緒に、浜で買い集めて、工場へ運び、
内臓抜き、サイズ別仕分け、凍結、箱詰めを行い、うちの会社が買い取るシステムです。
日本の他社も買付に来ており、自然と買付競争になります。
「三菱は、こんな値段出した。丸紅は...、伊藤忠は...、マルハは...、ニチレイは...、」と
日本から遠く離れた砂漠出身の漁民たちが、日本の会社の名前を連呼するのは、見ていて不思議な気持ちになります。

そんな個人的な気持ちはさておき、当社も買付せねばなりません。網元(漁民を束ねる連中)に、
「うちも、ええ値段出しまっせぇ〜」とフランス語でしゃべっているのに、
訳すとなぜか関西弁になってしまう言葉をかけながら、浜を歩き回ります。



小生だけではなく、うちの息のかかったモロッコ人をその他の浜に派遣して、浜値を調べ、
採算に合いそうな価格の場合は、片っ端から「買い!」を入れていきます。
網元への支払いは、工場の親父

が代行し、工場の経費と利益を乗っけた値段で、当社が買い取るわけです。
この日は、合計100トンのタコをうちが買付しました。

必死の買付がひと段落すると、勝手なことに、搾取されている漁民が思いやられます。
いわゆる小作農と同じようなもので、漁民は安い手当てで網元にこき使われています。
小船を網元からレンタルするので、給料から船レンタル代やガソリン代を引かれて、
一人あたり、一日15〜20ドルほどの手取りになるとのこと。
もちろん物価は先進国と比べると段違いですから、一月で450〜600ドルの収入は、
普通のモロッコ人の3倍ほどです。

よって、「搾取されている」と漁民が感じているかどうかは甚だ疑問で、
小生の個人的感傷に過ぎないのかもしれません。
しかし、昨今、タコの漁獲量は激減しており、アフリカ沿岸の水産資源も枯渇の危機にさらされています。
アフリカの豊かな浜を先進国が食べ尽くそうとしているイメージが頭を離れません。
アフリカの水産物商売でメシを食っている小生がこんなことを言うのもなんですが...。
食い物には、感謝の気持ちを忘れずにいたいと思います。


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